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店長の育成~戦略と戦術~

店長の育成~戦略と戦術~

 当社のコンサルティングメニューには「〇〇戦略」といった記述が何個も出てきます。また、当コラムの標準化で以前ご紹介した面白法人カヤックさんのHPでは、良い経営理念が満たしている条件の1つとして「理念から戦略&戦術のヒントがあること」が挙げられています。

 では、戦略と戦術の違いとは何なのでしょう。
 日経BP社から出版されている「小さな会社の稼ぐ技術」では、「戦略は目標を決めたり、仕組みを何か作ったり、頭で何かを作り出す仕事のこと」、「戦術は手と足、体を動かすこと」とありました。

 戦略と戦術。言葉だけを見ると戦略は「戦の略」であり戦術は「戦の術」です。
 では、スマホやパソコンを使わないで「術の付く言葉」を考えてみてください。果たして何個出てくるでしょうか?

 技術、芸術、美術、医術、手術、忍術、柔術、詐術、話術、奇術、魔術、武術・・・

 多くの方がこの辺りで打ち止めになると思うのですが、「術の付く言葉」を「2文字」かつ「術が後ろにくる」言葉と無意識に捉えて考えたはずです。ですからこの量の言葉しか浮かばなかったと思います。
 これは、私たちは何か考えるときに、勝手に自分で制限・ルールを決めて、その中で物事を考える癖があることを意味しています。
 この制限・ルールに縛られない人もいます。そういう人は、上記の言葉の他に、
 
 読心術、投球術、節約術、護身術、催眠術、技術士、芸術家、術中、術後・・・

 といった言葉を挙げることができます。

 余談になりますが、上述のとおり、私たちは勝手に自分で制限・ルールを決めて物事を考える癖があります。その癖を無くさなければいけないのではなく、その癖を持っていることを自覚することが重要です。

 これを自覚していない人は、思い悩んだ場合に、自分で決めた制限・ルールの中でしか考えませんから、割と早期に行き詰ります。
 一方、これを自覚している人は、思い悩んだ場合に、やはり自分で決めた制限・ルールの中でしか考えませんが、行き詰りそうになると他人に相談したり、アドバイスを求めます。自分で決めた制限・ルールの中だけで考えるのは行き詰ることが分かっているからです。
 よって、私たちは、多くの方に相談をして、広い視点から問題解決を図るべきなのです。

 さて、話を戦略と戦術の違いに戻します。前述した術の付く言葉を再度見てみて下さい。

 技術、芸術、美術、医術、手術、忍術、柔術、詐術、話術、奇術、魔術、武術、読心術、投球術、節約術、護身術、催眠術、技術士、芸術家、術中、術後

 どうでしょう、多くの言葉が「個人のスキル」に依存している印象がないでしょうか。その人が持っているその術がなければ、そのことは達成できない、といった印象です。
 これに対して戦略は「組織的に対応する」ことを意味します。

 ガソリンスタンドの現場に長年、身を置いていると、様々なアルバイトスタッフが入社し、退社していきます。そのような中で、高い販売技術を持ったアルバイトスタッフが入社してくることがあります。なぜかその人が接客すると販売できてしまうのです。

 このようなスタッフを部下に持った場合、戦術志向の店長と、戦略志向の店長では、そのスタッフへの対応が違います。
 
 戦術志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの時給を大幅に上げるとともに、長時間の勤務をお願いします。可能であれば休日も削ろうとします。シフトに入ってくれればくれるほど販売実績が上がるからです。業績が高い日はそのスタッフがいる日、業績が低い日はそのスタッフがいない日となるのです。
 そして、そのスタッフは長時間労働と店舗の業績向上に対するプレッシャーに疲れ果て、辞めてしまうケースが多いのです。

 これに対して戦略志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの行動を観察・分析します。ガソリンスタンドで働くスタッフの一連の流れは、下記の通りです。

 挨拶・出迎え→誘導→受注→給油開始→窓ふき・車内のごみ片付け→ガソリン以外の商品販売→給油終了→会計→お見送り

 この一連の流れを、高い販売技術を持ったスタッフはどのように行っているのか観察し、他のスタッフとの違いを分析します。例えば、顧客と会話をする際の立ち位置、目線の高さ、身振り手振り、クロージングのタイミングなどです。

 このように分析していくと、やはりその人でなければできないことはたくさんあります。反面、その人でなくてもできることもああるわけです。上記の例であれば、立ち位置や目線の高さなどは、高い販売技術を持っていなくても真似はできるわけです。

 このようにして、高い販売技術を持ったスタッフの行動のうち、真似できる部分は全員で真似ていき、販売力の底上げを図ろうとするのが戦略志向の店長なのです。

 苦境の続く百貨店業界で勝ち組とされている三越伊勢丹新宿店では、販売力の高いスタッフの接客をビデオ撮影をし、分析しているのだとか。

 個人のスキルを活かした「戦術」を極めていくことも重要ですし、組織的対応を行う「戦略」を充実させていくことも重要です。ただし、経営者としては、店舗のマネジメントを行う現場責任者が「戦略」の観点を持てるように働きかけたいものです。

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